遺伝やホルモンの変化など内的な要因が肌を左右します。
ちょっとしたことでも乾燥しやすい。皮脂が過剰ぎみでニキビに悩まされる。小鼻まわりはベタつくのに目元や口元はカサつく。同じ肌でも人によってその特性は変わります。また、肌トラブルを生じやすかったり、老化のスピードに差があったり。思春期と更年期でも肌の状態は違います。そうした肌の特性は、遺伝やホルモン変化などの内的要因が大きく関係しています。
普通肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌など、一般的に言われている肌タイプは、遺伝的要因によって決まります。敏感になりやすい、シワになりやすいなど、個々によって違う肌の特性も遺伝的要因が大きく関わっています。また、肌のターンオーバーのリズムの遅延、皮脂の分泌低下、水分保持機能の低下、コラーゲンやエラスチンの変性による弾力性低下など、生物的な皮膚の老化にも遺伝的要因の影響が関係します。
血液によって全身に運ばれ、身体の働きを調整しているホルモン。このホルモンの分泌量の変化は肌に大きな影響を与えます。例えば、思春期。ホルモンの影響で皮脂量も多くなり、ニキビができやすくなります。妊娠中は分泌されたホルモンの影響でメラニン生成を刺激。肝斑と呼ばれる色素沈着過剰を引き起こしたり、肌の水分バランスに影響を与えたりします。閉経後はエストロゲンの分泌量が低下。皮膚の構造が変化し、加齢性萎縮と呼ばれる皮膚が全体的に薄くなる傾向にあります。
外から受けるダメージが健やかな肌の機能を阻害します
無防備に日差しを浴び続けたり、洗顔の際に肌をこすったりしていませんか。肌の状態や老化のスピードは内的要因だけに限らず、外的要因にも強く影響を受けています。紫外線や乾燥、大気汚染、ライフスタイルなど、肌を取り巻く環境による外的なダメージは、皮膚の新陳代謝など肌の健やかな営みを脅かし、その結果、肌の不調やトラブルが引き起こされます。その状態が繰り返されることでエイジングを加速させる要因につながるのです。
肌に最も影響を与えるひとつと言われているのが紫外線。長時間にわたって紫外線にさらされ続けることで、皮膚の防御機能のメカニズムは耐えきれずに、肌は“光老化”と言われる紫外線によるダメージが生じることになります。そのダメージが長年にわたって繰り返されることで、肌のエイジングはより加速されることになるのです。
肌は気温や湿度によって影響を受けます。例えば、寒冷地では血管が収縮し、熱が奪われないように身体を守りますが、その状態が続くことで、皮脂腺の分泌が減少し、肌が乾燥します。また、大気が乾燥することでも肌の水分蒸散が促され、肌が乾燥に傾きます。反対に高温多湿の環境では、汗が多く分泌されて肌が脂っぽく変化し、時にはニキビなどの要因になったりするのです。さらに、室内外の激しい寒暖差、花粉やPM2.5などの大気汚染、エアコンや暖房による乾燥、季節の変化なども肌に影響を与える大きな要因です。
間違ったスキンケアも肌にダメージを与える要因です。例えば、洗浄剤。皮膚はpH5前後の弱酸性の状態の時は、本来の健やかさが維持されます。ところが、刺激の強い洗浄剤は、皮膚本来の中和能力にダメージを与え、細胞構造を損傷、バリア機能を低下させます。また、洗顔時やスキンケア時に肌をこするなどの摩擦による刺激も肌の健やかさを損なう要因。さらに、乾燥しているのにさっぱりした化粧品でケアしたり、皮脂過剰なのに油分の多い化粧品を使ったり、肌に合わないスキンケアも肌の状態を悪化させる要因です。
定期的な運動や十分な睡眠を心がけることで、身体全体はリフレッシュされ、健康的な新陳代謝が促されます。健康的なライフスタイルが、老化を遅らせ、肌トラブルの予防にもつながるのです。反対に不健康なライフスタイルは肌に悪影響を及ぼすので要注意。例えば、喫煙の習慣がある場合は、肌にダメージを与えるフリーラジカルを発生させる要因に。入浴の習慣も要チェック。入浴の頻度やお湯に浸かる時間が多過ぎたり、湯船の温度が熱すぎたりすると、肌表面の天然保湿因子や脂質を失う要因となり、肌の乾燥を進ませます。
健康的な状態を維持するために活発に新陳代謝を繰り返している皮膚にとって、毎日の栄養は欠かせません。そのため、バランスの取れた食事は不可欠。極端な食事制限によるダイエットは、皮膚の機能を低下させ肌の健やかさを奪うことに。また、過度のストレスは自律神経の不調を招き、肌にも大きく影響を及ぼす他、ニキビなどの肌トラブルの原因にも。
時間の経過とともに皮膚の機能は低下します
年齢を重ねるほどに肌の悩みは増える傾向に。それは内的、外的要因が複合的に影響し、肌の構造が年齢とともに変化していくことが要因しています。加齢により肌細胞自体の量も機能も低下、表皮と真皮が薄くなり、バリア機能も下がる傾向に。さらに、ターンオーバーの周期も遅くなり、皮膚再生能力も衰えます。その結果、肌のボリュームや輝き、弾力性は徐々に失われていき、乾燥やシワ、たるみ、シミ、くすみなどいわゆるエイジングサインと呼ばれる症状が現れるようになります。それらは、時間が経過するとともに深刻化。年齢とともに肌悩みがより深くなっていくのです。
健やかな美しい肌を象徴しているのが実は『ハリ』。ふっくらとしなやかな弾力と、奥からの潤いと輝きが満ちることで生まれるハリは、でも、なぜ失われてしまうのでしょうか。ハリの真実をちょっと覗いてみましょう。
肌のハリは、主に真皮層にあるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸によって保たれています。真皮の70%を占めるコラーゲンは肌の強度や安定性を保つ役割を担っており、一方エラスチンは伸縮性に富んだ網目構造でコラーゲンを束ねるように存在、肌に弾力を与える役割を果たしています。真皮の隙間を埋めるように存在するヒアルロン酸は、高い水分保持力を持ち、肌の乾燥を防いでふっくらとみずみずしい潤いをキープ。この3つ健全な働きによって、奥から弾むようなハリが生まれるのです。
では、なぜハリは失われていくのでしょうか。年齢とともに真皮の線維芽細胞の機能が低下、これによりコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の産生量が減少するとともに、糖化や紫外線などの影響でコラーゲンが変性。すると、真皮の構造が乱れて皮膚の強度や弾力性が低下し、水分量も減少、ふっくらしなやかなハリの感触が失われていくのです。また、加齢によって真皮層への血流も減少し、細胞のターンオーバーも遅延。イキイキとしたハリの輝きも失われていきます。
細胞の活性やコラーゲンなどの産生を促す、ハリに欠かせない次世代スター成分
シワ改善などエイジングケア成分として期待されている成分のひとつにレチノールがあります。その誘導体や非誘導体のレチノールは、医薬部外品の有効成分だけに終わらず化粧品の添加成分としても配合されていますが、バクチオールは「次世代レチノール」として、今、最も注目を集めている成分のひとつです。インドのアユールヴェーダや中国の伝統医学で古くから使用されていたバクチオールは、マメ科の植物から抽出される天然成分。その分子構造や生物学的反応において、レチノールと類似している点も多く、同等の高いスキンケア効果がのぞめる上に、安定性にも優れているのが特徴です。最近の研究では、バクチオールがコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを生成する真皮の線維芽細胞を活性することも明らかにされています。さらに、細胞増殖も確認されターンオーバーを促進する働きがあることも示唆されています。バクチオールは、肌のハリを導く成分として期待されているのです。
【細胞活性/ターンオーバー促進】
研究調査で真皮線維芽細胞にバクチオールを加えたところ、細胞増殖因子に有意な増加が認められた。さらに、細胞増殖、生存細胞の増加も確認され、ターンオーバー促進の働きも示唆されている。
【コラーゲン/フィブロネクチン産生】
同じく研究調査では、真皮線維芽細胞において1型コラーゲン、7型コラーゲン、フィブロネクチンの産生促進も確認された。
細胞のエネルギーを生み出し、
高い抗酸化作用で若々しさを支える頼もしい成分
コエンザイムQ10は、エイジングケアにおいて再注目されている成分です。もともと皮膚に存在する成分で、体内でエネルギーを生成する補酵素として働くとともに、強い抗酸化作用を発揮する二つの機能を持っています。しかし、20代をピークに体内のコエンザイムQ10濃度は減少。コエンザイムQ10が不足すると細胞内のエネルギーも不足、細胞の機能低下につながるとともに、抗酸化の力も弱まり、ハリの低下やシワなどのエイジングサインへとつながり、老化が加速されます。